Habsburg Digital (Vietnam)

コラム

創業者の後も続く会社をつくる

ファミリービジネスは、多くの国で経済を支える屋台骨です。いくつかのシンプルな仕組みが、世代から世代への承継を助けます。

ベトナムで成功している民間企業の多くは、この30年ほどの間に、強い意志を持つ創業者が、しばしば家族の力を借りながら築き上げてきたものです。その活力には目を見張るものがあります。PwCの最近の調査では、回答したベトナムのファミリービジネスの4分の3が前年に売上を伸ばしており、世界平均を大きく上回っていました。そうした創業者たちはいま、欧州の同族企業が何世代にもわたって向き合ってきた問いに直面しています。次の世代が経営を引き継ぐとき、あるいは子どもたちの一部が別の道を望むとき、会社はどのように続いていくのか、という問いです。

関係を守るための仕組み

PwCの調査は、ベトナムでは正式な取り決めがまだ少ないことも示唆しています。一族と事業との関わり方を定めた書面による合意、すなわち家族憲章を持っていたのは、ベトナムの回答者のごく一部にとどまり、世界全体の約4分の1を大きく下回りました。標本数が少ないため、これらの数字は厳密なものではなく傾向を示すものですが、多くの読者にとって思い当たる節のある姿ではないでしょうか。

欧州では、歴史ある同族企業の間でこうした文書は一般的です。それは不信の表れではありません。誰が会社で働けるのか、株主への配当をどうするのか、意見の相違をどう解決するのか、次の経営者をどう選ぶのか。危機のさなかに決めようとすればつらい思いをする問いを、皆の関係が良好なうちに、落ち着いて決めておくためのものです。

十分に先を見据えた準備

ドイツの政策金融機関であるドイツ復興金融公庫(KfW)は、2029年までに年間約10万9,000社の中小企業が後継者を探す一方、ほぼ同じ数の企業が、多くの場合後継者がいないために廃業を予定していると推計しています。同公庫の調査によれば、早くから計画した企業ほど選択肢が多いことがわかっています。事業承継は一度きりの出来事ではなく、長い年月をかけて進むプロセスなのです。

能力主義と、独立した助言

世界の数千社を対象に経営の質を比較した経済学者たちは、経営を単に長男に引き継ぐ同族企業は経営手法の評価が低くなる傾向がある一方で、専門の経営者が率いる同族所有の企業はしばしば高い評価を得ていることを見いだしました。ここから得られる教訓は、同族企業が弱いということではありません。能力に基づいて経営者を選び、独立した立場の意見を議論の場に迎え入れることが、一族の築いてきたものを守るということです。

実際には、経験豊かな社外の人材を1〜2名迎えたアドバイザリーボード、一族のメンバーの明確な職務内容、そして今後10年間の計画書といった、ごくシンプルなもので十分な場合もあります。これらは一族の経営権を弱めるものではありません。むしろ強めるものです。

子どもたちが別の道を選ぶとき

ベトナムの多くの家庭では、子どもたちが学び、より多くの選択肢を持てるようにと、親が工場の現場で長い一日を重ねながら事業を築いてきました。その子どもたちの中に、手にした選択肢を実際に選ぶ人がいるのは、ごく自然なことです。会社勤め、自らの専門職、創造的な仕事への情熱、あるいは海外での暮らし。工場や建設会社、商社の経営は負担の大きい仕事であり、誰もが望むものではありません。

それは家族の失敗ではなく、会社の終わりを意味する必要もありません。事業を所有することと経営することは、二つの異なる役割です。欧州の多くの同族企業は、何世代にもわたって同じ一族が所有しながら、長い期間にわたり社外から迎えた専門経営者が経営を担ってきました。一族は取締役会に加わって方向性を定め、利益の分配を受け、日々の業務は経験豊かな経営陣が担うのです。

ご自身のお子さんだけでなく、もう少し広く目を向けてみる価値もあります。ふさわしい人物が、すでに身近にいることもあるからです。長年にわたって黙々と事業に携わり、顧客や機械のことをよく知り、会社を大切に思っている甥や姪、年下のいとこ。そうした人たちは、自分から声を上げなかったり、創業者の実の子どもではなかったりするために、見過ごされがちです。実際の責任と公平な育成の機会、そして力を示す明確なチャンスを与えることで、事業を一族の手に残しながら、ずっとそこにあった才能を引き出せるかもしれません。その際にも、ほかの誰とも同じルールを適用すべきです。能力主義、透明な道筋、そして公正な報酬です。

ほかにも道はあります。忠実な幹部社員が、時間をかけて会社の一部または全部を買い取れる場合もあります。同じ業界の信頼できるパートナーや、より大きな企業が良い新オーナーとなることもあるでしょう。子どもの一人が経営を担い、ほかのきょうだいは株主として残るという形もあります。いずれの道も、慌てて決めるのではなく、何年も前から落ち着いて準備しておくほうがうまくいきます。

何より助けになるのは、率直な対話です。子どもたちは、自らの志を退けられるのではなく尊重されてこそ、オーナーや相談役として関わり続けようと思うものです。そして、一人の人物に依存せず、有能な次の経営層と整った記録を持つ会社は、家族がどの道を選んでも、その価値を保ち続けます。

考えてみたい問い

  • 創業者が6か月不在になったら、誰が何を決めるのか。
  • 一族のメンバーが会社に加わる際、離れる際、そして報酬について、書面で定めているか。
  • 一族の外で率直な助言をくれるのは誰か。そして私たちはその声に耳を傾けているか。
  • 子どもたちに、どのような役割を担いたいか、あるいは担いたくないかを、重圧をかけずに尋ねたことがあるか。
  • 親族の中に、あるいはチームの中に、見過ごしてきた控えめな才能の持ち主はいないか。
出典
  1. PwC Vietnam, 'Family Business Survey 2025 – Vietnam', 26 November 2025 (Vietnam sample of 32 respondents). https://www.pwc.com/vn/en/publications/vietnam-publications/family-business-survey-2025.html
  2. KfW Research, 'Nachfolge-Monitoring Mittelstand 2025', 9 January 2026. https://www.kfw.de/%C3%9Cber-die-KfW/Newsroom/Aktuelles/News-Details_876800.html
  3. John Van Reenen, Nicholas Bloom and Raffaella Sadun, 'Improving productivity through better management practices', LSE Business Review, 20 May 2022. https://blogs.lse.ac.uk/businessreview/2022/05/20/improving-productivity-through-better-management-practices/

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